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【し~なチャン便り 第70話】街中で「なつかしれとろ散歩」

街なかを散歩しながら、懐かしい『レトロなあの頃』にタイムスリップ!!~街を歩いていて、そんなキャッチフレーズを目にしました。

「街なか散歩」、「懐かし」、「レトロ」、「タイムスリップ」…まさに私が大好きなフレーズをちりばめた、心揺さぶるイベントが先月9月いっぱい、秋田市中心部で行われました(油谷これくしょん、秋田市主催)。

イベント名もズバリ「なつかしれとろ散歩」。『あの頃』駄菓子屋にあったお菓子やおもちゃ、思い出のレコードや映画のポスター、昭和時代の家電や古地図、セピア色の写真などのグッズが計10か所の会場で展示されました。

例えば、駅前の映画館アルヴェシアターでは「映画史をひもとく」とのテーマで、キラキラ輝く往年のスターたちのポスターや映写機を展示。広小路沿いの店舗や施設のショーウインドーには「昭和ヒット歌謡」、「あの頃のスポーツ」、「大衆興行を振り返る」などと題して、昭和の少年が心躍るグッズが並べられていました。

実はすべて稀代の収集家・油谷満夫さん(秋田市)のコレクションからなんです。

「懐かしい」とか「レトロ」とか、簡単に言ってしまいますが、「懐かしくレトロに感じる」範囲って、みんな違いますよね。私自身は子供のころ、まぁ「昭和30年代」ですが、同じ昭和生まれでも微妙に「懐かしレトロ」モノが異なる。平成時代を懐かしくレトロに思う世代も増えてきました。

油谷さんのコレクショングッズは少し大げさに言えば、「すべての世代」がイメージする「懐かしい」「レトロな」モノを網羅している、と私は思います。なんといっても50万点…縄文時代から現代までの庶民の暮らしを映し出すモノたちです。

もし、弥生時代の人が「縄文時代の土器」なんかを見れば、「あぁ~懐かしい、この土器よく使ったなぁ」なんてつぶやくんだろうなぁ。

さて、今回の散歩で、私が最も心惹かれたのは「家電」です。そして、その中でも「テレビ」。私は「テレビ小僧」でした(水木しげるさんの漫画で、『テレビくん』というのがありました。知ってますか?)。

我が家に初めて「テレビ」が来た日。忘れもしない「1963年」です。記憶の中では、テレビは始め、「茶の間」ではなく、「応接間」の「床の間」に置かれ、レースのカバーがうやうやしくかけられていました。

生まれて初めてのテレビ。そして飛び込んできた衝撃的なシーンは「ケネディ大統領暗殺」でした。当時、ケネディ大統領は日本の少年たちに超人気…。若き大統領が凶弾に倒れ、ガクっと頭を垂れる情景はショックでした。

テレビが一家の中心。一家全員の注視のもとで、うやうやしく、母親手作りのレースのテレビカバーを引き上げて「テレビ鑑賞」の始まり、始まり。我が家では毎夜のように家族で「チャンネル争い」が繰り広げられました(画 西村修)。

テレビは超高価。1955年の白黒テレビが約9万円、これは消費者物価指数で調整すると、現在の50万円くらいの価格で売り出していました。

我が家ではそれから10年ぐらい後、少し安くなってから入手したと思われますが、それでも父親の決心は大変なものだったでしょう。「東京オリンピック(昭和39年)が見たい~」という、家族の熱い思いを背に「清水の舞台から飛び降りる」覚悟で決心したのかも。父はすでに亡くなり、その胸の内は闇の中ですが。

令和の今。若い世代では「テレビ離れ」が叫ばれています。家族みんな一緒に、同じ時間を共有した『あの頃』をいとおしく思ったりする今日この頃です。

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油谷満夫さんのドキュメンタリー「物の聲を聴け~65年、ただひたすら集めて」が、地方の時代・映像祭に最終ノミネートされました。入賞は決まりました。具体的な賞の発表、贈賞式は11月18日、です。

まずは応援していただいた皆さんにお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

「地方の時代」映像祭は、吹田市、関西大学、日本放送協会、日本民間放送連盟、日本ケーブルテレビ連盟が主催する全国規模のドキュメンタリー映像の祭典です。

「地方の時代」を歴史的キーワードに「地域・地方からわが国のあり方を問う」という基本テーマが掲げられています。このテーマに沿って私たちは、秋田から「個人が守る文化資源」の価値を多くの人に伝えていきたいと思っています。

 ※現在、「物の聲を聴け~65年、ただひたすら集めて」はyoutubeで限定公開中です。まだご覧になっていない方はぜひ。