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【し~なチャン便り 第69話】シン・マタギスナイパーズ~秋田のデジタルシニア 次の進化へ②

今回も前回に引き続き、日本初のシニアeスポーツチーム「マタギスナイパーズ」の話題です。

7月の記録的な大雨で被災した秋田を支援しようと、eスポーツでの対戦をメインにしたチャリティーイベントが秋田市で行われました。秋田県eスポーツ連合(秋田市中通)主催の「マタギスナイパーズカップ」です。

マタギスナイパーズは2021年9月に誕生。同連合が当初、マタギスナイパーズ結成2周年の記念イベントとして企画していたところ、秋田を”記録的な”集中豪雨が襲います。マタギスナイパーズのメンバーも「人生で初めてだ」と口をそろえるほど、被災世帯が3万世帯にも上る大きな被害でした。

「地元チームとして、水害に見舞われた秋田を応援したい」というメンバー、サポーターたちの声を受け、大会の目的を「災害の復旧支援」に変更して開催することになりました。趣旨に賛同したNTT東日本秋田支店の全面的な協力のもと、全国から参加チームを募集。企業協賛やチャリティーTシャツの売上、さらに試合配信時などのいわゆる”投げ銭”の一部は秋田県大雨災害義援金として寄付する、という秋田で初めてのFPS(ファースト・パーソン・シューティング)大会です。

※投げ銭とは 視聴者がプレイヤーに「応援」として「寄付」したお金のこと

FPSとは プレイヤーの目線(一人称視点)でゲームを進めるアクションゲームのジャンル

使用タイトルは、FPSの最新ゲームで世界的に人気を集める「VALORANT」。5人1組で県内外の14チーム(70人)が参加しトーナメント方式で行われました。競技向けパソコンや大型モニターなどが設けられた会場では、マタギメンバー5人がゲームシートに着席、1500人以上がオンラインで観戦する中、熱戦を繰り広げました。

残念ながら結果は…2回戦敗退。年代に伴うハンディなど一切なし。まぁシビアではありますが、これがゲームの世界なんです。

試合直後、選手たちは「やっぱり、みんな強いなあ」と肩を落としてはいましたが…いやいや、会場は大盛り上がりでした。メンバーたちが声を掛け合い、巧みにキーボードとマウスを操作する姿を自分のように見つめ、一緒に熱く「闘って」いました。メンバーたちも皆さんの応援に力づけられ、「次回こそは…」と再び闘志を燃やしていました。平均67歳、まだまだ青春だなぁ。

マタギスナイパーズが、孫世代のチームと戦うこと。それも対等に、良き対戦相手として━

今後、もしマタギのメンバーが力をつけてくれば、その試合結果や内容で、ゲーマーたちの意識が大きく変わるかもしれません。シニアのゲーマーたちは、eスポーツ業界の状況を大きく変えられる可能性を持っている、と私は感じました。

eスポーツは世界的に市場規模が拡大しており、日本でも2020年には約67億円に達しました。今後もeスポーツ関連の需要は拡大し、シニアゲーマー向けのサービスもさらに充実していくでしょう。その意味で、世界一高齢化が進む秋田に誕生した日本初のシニアチーム、マタギスナイパーズは「シニア層のeスポーツ市場拡大の先駆者」になり得る存在かも。

日本はeスポーツ後進国と呼ばれてきましたが…。 2022年4月には「VALORANT」 世界大会で日本代表チームが世界第3位を獲得。 高校生eスポーツ全国大会では2,000名を超えるエントリーがあり、中学生が将来なりたい職業では”プロのeスポーツプレイヤー”が上位にランクインしている、といいます。このeスポーツを学校教育現場に取り入れたり、繋げたりしようという動きも全国各地に広がっているんです。

かつて、私たちの世代は、子供たちに「ゲームばかり夢中になっていると、ろくな人間、立派な社会人になれないぞ」なんて言っていたような気がします。もう、そんな時代じゃないですね。私も今、マタギのメンバーたちに刺激されて、孫と一緒にインターネットでゲームを楽しんでいます。「じぃじ、なかなかやるね」なんて言ってもらえるとうれしいものです。

かつて、私が子供のころ、祖父母といえば「異次元」の存在でした。一緒に「大岡越前」とか、NHKの大河ドラマ「天と地と」なんかを見たことはありますが…孫という次世代とともに、ゲーム空間を同じくできる。つくづく…幸せな時代が来た、と思います。