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【し~なチャン便り 第67話】シン・秋田の夏~残暑お見舞い申し上げます

残暑お見舞い申し上げます。

お盆を過ぎて1週間。今年は秋田市でもまだまだ暑さが続きます。いつもの夏なら、もう「秋の気配」も感じていたはずですが…

今夏は異常です。秋田市ほか県内各地の大水害、その後は連日の35度を超す強烈な暑さ。水害に遭われた方々、復旧に携わるボランティアの方々。今も各地で頑張っておられます。本当に頭が下がります。

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今回は「秋田の夏」について。

私の住む秋田市の夏、特にお盆の時期になると、市内の通町や馬口労町などで「草市(くさいち)」が開かれます。これは、お盆の飾り物や供え物を売る市のことで、地元の人々にとっては、お盆の準備に欠かせない存在。お盆に飾る「桔梗、女郎花、萩」などの花々も売られることから、地域によっては「花市」とも。

そもそも、草市が始まったのは江戸時代。「町方」(まちかた、町で暮らす人)が増え、盆行事の準備が難しくなったから、とされています。本来、「盆花」は野山で採ってきて、先祖供養として飾るものですが、「都市化」が進むにつれて、多くの人たちは「野山で自ら捕る」ことが難しくなりました。そこで、「街中」では草市が開かれ、町方が必要なお盆グッズを販売していたんです。

江戸時代、「久保田城」下では、旧暦のお盆に合わせて7月に草市が開かれていた、と思います。現在では1カ月遅れの8月12日に開かれるようになりました。通町ではどちらかといえば、伝統というよりは「お祭りイベント」的なものになってきましたが、馬口労町通りでは昔ながらの形で、お盆の品を売る草市が開かれてきました。

「馬口労町」(現在の旭南地区)では、江戸時代中期から行われていた、という記録が残っており、昔の絵図には野菜・漬け物・餅・下駄・皿などお盆に使う様々な品が並ぶ様子が描かれています。

旭川沿いに船着き場があり、また陸路でも羽州・酒田街道が交わる交通の要所であったこと、さらに「町名の由来」である「馬市」が開かれる特別の場所だったことなどから、自然に草市が生まれたのだと思います。久保田城下でも指折りの、「外町(とまち)」の賑わいのあった土地柄だつたんです。

お盆を迎えるにあたり、馬口労町の草市に足を延ばしてみました。

お目当ての一つは、収集家・油谷満夫さんのコレクション「うちわ絵」展示です。2015年に閉店していた「湊屋陶器店」さんが一日限りの営業をすることになり、その店内に「うちわ絵」を飾ろう、ということになったからです。

実は、一緒にCNAの生番組「し~なチャン」をやっているМCの椎名恵さんが「馬口労町」生まれ。伝統の「草市」を毎年お手伝いしており、今回、私たちの共通の知人である油谷さんがコレクションを提供してくれた、というわけです。

明治・大正、昭和の懐かしさを感じさせる「湊屋」さんの店に、大正ロマンの「うちわ絵」がぴったりマッチしていました。訪れた日(8月12日)も猛暑でしたが、その暑さをひととき忘れさせてくれるかのような、涼やかな雰囲気が店内にありました。すてきな陶器がたくさんありました。「一日限りの営業、ちょっと残念」「また、この通りで開いてくれたらいいのに」。そんな声が聞こえました。

馬口労町の草市は今、椎名さんほか若い世代が力強く支えています。今年は、「草市」に興味を持ってくれた秋田大学教育文化学部の学生たちが「秋田の歴史」をクイズにして、スタンプラリーを企画。草市に訪れる人たちを、笑顔でガイドしていました。

「草市」って、どんなカタチになって未来につながっていくのかなぁ~きっと、若い世代の感性が注ぎ込まれて、新しい伝統、「※シン・草市」がつくられていくのだと思います。

※庵野秀明監督のファンです。「シン・ウルトラマン」の「シン」シリーズにワクワクさせられています。いつかこの言葉、「シン」を使ってみたかったんです…※

そこで、私も”シン”を意識。最近ハマっている「画像生成AI」を使って、「近未来のシン・草市」を描いてみました。どうも家並みや通行人のまとう衣装が「日本」っぽくないのですが…

8月13日以降、県内では盆踊りが各地で開催され、大勢の人でにぎわいました。

ユネスコの無形文化遺産に昨年11月登録された24都府県41件の民俗芸能「風流踊(ふりゅうおどり)」のうち、「西馬音内の盆踊(ぼんおどり)」(国重要無形民俗文化財、羽後町)と「毛馬内の盆踊」(同、鹿角市)は登録後初の開催になりました。これまで、「コロナ下」ということで、ある意味で遠慮がち、または縮小しての開催が続いていただけに、それぞれの会場ではみんなの笑顔があふれ、開放感が包んでいました。

西馬音内、毛馬内のほかにも八郎潟町・一日市盆踊り、鹿角市・花輪ばやし、さらに9月には角館祭りのやま行事、大曲の花火など秋田を代表する盆踊り、夏まつりが続きます。

まだまだ、秋田の夏は熱い…です。