「全国健康福祉祭」と漢字で書いてしまうと、なにやら「お堅い」カンジがしますけど…「ねんりんピック」と聞くと、イメージがわきますよね。これは、「年輪」を重ねたオリンピック、「シニアのスポーツと文化の祭典」(冒頭の写真は2017年秋田大会)の愛称です。
旧厚生省の発足50周年記念事業の一環として、1988年に兵庫県で第1回大会が開催され、以来、都道府県持ち回りで毎年開かれているんです。
秋田県では2017年9月に開催、ちょうど30回目の大会でした。県内17市町村でサッカーやミニテニス、囲碁など26競技を行い、47都道府県と20政令指定都市から参加した約1万人が、それぞれに打ち込んでいる競技を通じて交流しました。連日、秋田魁新報でも大きく取り上げられていました。
当時、県がまとめたデータによれば、選手や観客も含めた参加者総数は事前の見込みを大きく上回る延べ52万7千人。大会の経済効果は推計106億8千万円に達した、といいます。今振り返っても、すごい数字です。
「大会は4日間ですが、期間中は競技種目以外にも多彩なイベントも開かれ、選手の皆さんたちは県内各地の観光を楽しんだ、と思います。特に最終日、閉会後の人出はすごかった。秋田市内の川反や山王の飲食店街は、それぞれの県のユニフォームを着たシニアたちが行き交い、にぎやかでしたよ」
笑顔でそう語ってくれたのは、事務局として「ねんりんピック」を担当、「第1回兵庫大会から、ほとんどの大会を見てきた」という小玉隆雄さんです。
県長女社会振興財団(LL財団)に29年間勤務。平成30年から県社会福祉協議会の地域福祉・生きがい振興部で働いています。担当は「生きがい・健康づくり」。これは、やりがいがある「最強の」担当業務ですね~
「主な参加者は60歳以上の方ですが、子供たちから高齢者の方まで幅広い世代の方に楽しんでいただけるイベントがたくさんあります。毎年の各大会では、ニュースポーツも数多く紹介してきました。勝敗、というより交流を楽しむ、ということを大切にしています」
小玉さんお奨めのニュースポーツを2つ紹介します。スマイルボウリングとニチレクボールです。
スマイルボウリングは、ボウリングをアレンジしたスポーツ。投球位置からゲートを通過させ、10本のピンをできるだけ少ない投球で倒すことを競うもの。動きに無理がなく、幅広い年齢層の方が楽しめます。みんなが「笑顔」でプレイできるのも、「スマイルボウリング」ならでは、です。
もう一つのニチレクボールは「室内ペタンク競技」のこと。黄色い標的球に向かって、2チームがそれぞれ赤と青のボールを投げ合い、「どれだけ近づけたか」で得点を競うゲームです。ルールは簡単ですが、ゲームの読みには経験を必要とあって、実力的に差があっても作戦ミスやゲームの流れで思わぬ不覚をとることもあるとか。
毎年続いてきた、この「ねんりんピック」ですが、コロナの影響もあって2020、2021年は開催ができなくなってしまいました。関係者、選手の方々はがっかりだったと思いますが、今のところ、2022(令和4年度)は神奈川県で11月に開催の予定です。
「ねんりんピックでは、各大会ごとにそれぞれの開催県で特徴的なスポーツが登場します。2017年の秋田大会ではミニテニスでした。神奈川ではサーフィンが登場するんですよ」と小玉さん。
東京2020オリンピックと同様に初開催種目。そしてメーン会場は茅ヶ崎市、う~ん、やるなぁ。「湘南ボーイ」たち。
1975年リリース、荒井由実(現 松任谷由実)さんの3枚目のアルバムに、「COBALT HOUR(コバルト・アワー)」という曲がありました。「あなたは昔 湘南ボーイ~ わたしは昔 横須賀ガール~」という歌詞です。
「横須賀ガール」って、どういうタイプの女性か、よくは知りませんが、私にとっての「湘南ボーイ」は加山雄三さんです。小学生のころ、加山さん主演の「海の若大将」という映画を見て、「この世にサーフィンなんていうスポーツがあるんだなぁ」と感動。あれから「年輪」だけは重ねた私です。
神奈川・ねんりんピックまであと1年。「なせばなる。なさねばならぬ何事も」です。サーフィン、やってみようかな…でも、「年輪」を重ねただけでは「湘南ボーイ」にはなれないかも…