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【し~なチャン便り 第39話】9月30日 星に願いを~「秋田の宇宙(そら)」へ

夏が終わり、秋の気配が感じられる季節です。永遠に続くか、と思われた夏の猛暑の日々。それが最近では昼よりも夜の時間が長くなり、夜空には美しい秋の星座たちがはっきり見えるようになりました。

私は「彗星(すいせい)」ファン。その中でも「ハレー彗星」には特別な思い入れがあるんです。

小学6年生のころ、1967年秋。大好きな海外ドラマがありました。「タイムトンネル」という米国のSF番組です。

米国の某所、地下深く「トンネル型タイムマシン」が密かにつくられ、2人の科学者が(思いがけず)その「タイムトンネル」に入ってしまい、過去や未来を行き来するというストーリー。初めて見たのはシリーズ途中からで、それは第3話「世界の終わり」という物騒なタイトルでした。

2人が転送されたのは「1910年」、ハレー彗星が地球に迫った時代。「ハレー彗星で世界が滅ぶ」━パニックになる人々に、2人は「(史実では)何事も起こらない」と必死に説得するものの、声は届かない…ハラハラドキドキの展開です。

ハレー彗星は、約76年周期で地球に接近する彗星(ほうきのような尾を引く星)です。特に、この1910年のときは、「タイムトンネル」が描いたように、実際に「衝突」寸前まで近づき、「この彗星には猛毒のガス(シアン化物)が含まれている、地球の大気中に拡散する」━という、ある著名な科学者の声明でパニックが引き起こされたといいます。

さて現代、直近でハレー彗星が現れたのは1986年。このころ、世の中は空前の天文ブーム。ハレー彗星や他の星座の写真集、さらにUFO、宇宙人…私は現役の記者でしたから、このブームについて秋田でも取材した記憶があります。

まさにこの年、1986年に誕生したのが「秋田星っこの会」。同会はハレー彗星回帰をきっかけに結成された天文同好会です。同じ「ハレー彗星」つながりで、(私は勝手に)特別な親近感を持っていました。

秋田県内で見える星空の写真などを集めた企画展「秋田の宇宙(そら)」が今、大潟村の干拓博物館で開かれています。

同展は「秋田で見ることができる星空の美しさを通し、星空を観賞する楽しさや宇宙の広さを感じてもらおう」と干拓博物館が企画。「秋田星っこの会」会員らが撮影した、輝く星たちの美しさを捉えた約200点が並び、来場者を楽しませています。全長180センチの天体望遠鏡も中央にどんと置かれ、訪れる人の目を引いています。

今回の「し~なチャン」では、企画した同館館長の船木信一さん、「秋田星っこの会」から同展実行委員長・阿部克日呼(かつひこ)さんをゲストにお呼びしました。

「前に『子ども博物館』に勤務していたころ、プラネタリウムの担当だったんです。そのころ、星っこの会の皆さんと出会った。以来、星空の美しさを子供たちに知ってほしいという気持ちを持ち続けてきました。この企画展、ぜひとも星っこの会の皆さんとやってみたかったんです」と船木さん。

企画展「秋田の宇宙(そら)」。このポスターも素敵ですね。星空がまるで「花火」のようです。実は船木さんのデザイン。もちろん星っこの会が協力。何だか双方の星に対する強い思いがこもってますよね。

一方の阿部さん。どうして星っこの会に?

「8年前、『ラブジョイ彗星』のことを聞き、ちょっと撮影してみようかな、と軽い気持ちでカメラを向けました。初めてでしたが、その映りに感動して、本格的に天体撮影を始めたんです。星っこの会には2019年に入会しました。以来、彗星や彗星がもとになってできる流星群を追い続けています」(阿部さん)

やはり、阿部さんも「彗星」ファンだった~

企画展では、県内各地で収めた彗星や流星、銀河、星団、星雲など星空や天体の写真がずらりと並びますが、圧巻は壁一面を使ってパノラマ写真で見せた「天の川」、これはすごいですよ…

息をのむほど美しい星々。お二人によれば、秋田は夜空の星々の観察には最上の環境とか。「道路灯や防犯灯などの照明光、つまり『光害(こうがい)』が少なく、美しい夜空が広がります。大潟村などは夜、さえぎるものがなく、きれいな写真が撮れますよ」とアドバイスしてくれました。

秋田に生まれてよかったです。秋田市中心部でも夜空がきれいに楽しめますからね。あれっ、ということは街灯が少ないってことか…ちょっと複雑ですね。

お二人の楽しい話を聞いていると、ディズニーの名作「ピノキオ(1940年)」の主題歌『星に願いを』(When You Wish upon a Star)のメロディが頭の中に浮かびました。

「星に願いを 心の夢を 祈れば いつか叶う~」

ハレー彗星、次に見えるのは「2061年」とか。40年後か…

「次のハレー彗星、見せてください」、昭和のじいさんは「星に願い」をかけました。