株式会社ALL-A

【し~なチャン便り 第37話】9月16日 醸します!! 大学生が日本酒づくり~「宵の星々」

早いものでもう9月中旬。秋田では朝晩めっきり涼しくなりました。もう秋の始まりですね~。

「食欲の秋」。そろそろ山の幸、海の幸をたっぷり使った鍋物がほしくなります。そして日本酒。秋の到来を告げる「ひやおろし」という酒もありますよ。

春に搾った酒を秋まで貯蔵してから出荷する、この「ひやおろし」。旨味のある秋の食材と相性は抜群。各酒蔵自慢の「ひやおろし」が店頭に並ぶのが待ち遠しいです。

日本酒と言えば思い出します。今から20年前の2001年9月。「主催者側」に勧められて「第21回秋田県利き酒選手権大会」に参加、信じられないことに「優勝」してしまったことがあります。「優勝者」としていくつかのライバル紙にも掲載され、複雑な思いでした。上司には、「ほかの新聞のネタになってどうするんだ」と厳しい指導を受けましたが…

不思議な「高揚感」のなかで、そのまま新聞記者をやめて「利き酒師」に…などと妄想も。その後、「腕を見せろ」と要求する友人たちと「利き酒会」を何度か催しましたが…ほとんど当たりません。結局ただの飲み会、でした。

そこで周囲に諭され、ようやく現実に立ち戻ったわけです。あのとき、立ち戻ってよかった。冷静に考えれば、やはり「ビギナーズラック」だったんだなぁ。でも、日本酒の旨さは今も昔も変わりません。ただ、秋田のお酒がすべて旨すぎて、利き酒ができないだけです。

さて、今回のテーマは「醸(かも)して大仙 大学生が日本酒造り」。ゲストは秋田大の益満環(ますみつ たまき)准教授(経営学)=大仙市出身=のゼミで、マーケティングを学ぶ泉好香菜(ここな)さん=大仙市出身、 伊藤千穂さん=能代市出身、進藤佳音(かのん)さん=潟上市出身=、いずれも3年生3人です。

益満ゼミの3人は、授業の一環でほかのゼミ仲間たちとともに、大仙市内の酒蔵による日本酒の新ブランドのプロジェクトに携わっています。これまで、材料となる酒造好適米の田植えなど農作業も体験。今後はコメの栽培だけでなく、これを材料に醸造した酒の販売にもかかわっていく、とのこと。

「ゼミでは昨年度、企業の経営や広報について学ぶため、大仙市内の酒蔵を先輩たちが取材。写真共有アプリ・インスタグラムで日本酒の魅力をPRしてきました」と3人。本年度はさらに一歩深め、「実際の酒米づくりを体験することで生産者の思いをより深く知ろうと、ゼミとしてプロジェクトに携わっています」と説明してくれました。

プロジェクトのキャッチフレーズは「醸して 大仙」。大仙市内の出羽鶴、刈穂、秀よし、金紋秋田、千代緑の5銘柄を統一ブランドのラベルで売り出す、というものです。

統一ブランドの名前は「宵の星々」。何だかノスタルジーを感じさせる、すてきなネーミング(特に昭和歌謡好きにはたまりませんね)。売り出しは来年早々、とか。

「この活動を通して地域のさまざまな方々と関わることができました。『秋田、地元をもっと楽しいものに、もっと新しいことをしたい』と多くの人が考えている、ということを知りました。今回の経験、ゼミで学んだ知識を生かして、そうした方々を支援していく仕事がしたいです」(泉さん)

「地域でのマーケティングに興味があって参加しています。日本酒の製造から販売 まで実際に加わっていくという、貴重な経験ができること感謝しています。今、(コロナ禍という)大変な中で、私たちができることは何か、ということを真剣に考えました。今はまず、日本酒の魅力をたくさんの人に知ってもらいたい」(伊藤さん)

「全国、県内でも暗いニュースが多い中で、地域のため、また、おいしいお酒を造るために頑張っている方々を取材しました。その中で感じた思いを多くの人にどんどん発信していきたいです。私たちの発信によって、少しでも地域が元気になってくれればうれしい」(進藤さん)

全国屈指の米どころであり、多くの酒蔵が立地する酒どころ・大仙。「醸して大仙」を掛け声に、地域一丸となって進んでいるプロジェクトで生み出される「宵の星々」━藍色の背景に5つの円が重なりあっているデザインは、『大曲の花火』を連想させるものとなっています。

「星」の一つ一つ、すべて試してみたいなぁ、かつて「利き酒師」を夢見た者として…

今宵は秋の「星々」を眺めながら日本酒で乾杯!!