あっという間に9月。まったく早いものです。
私が新人記者の時代のこと。9月になれば口ずさむ好きな歌がありました。チューリップ財津和夫さん(※財津一郎さんじゃありませんよ)の「セプテンバー」。「セプテンバー 9月になれば 君を思い出す~」という歌詞ですね。チューリップ全盛でしたから。
「9月は秋田市が定める『老人保健福祉月間』です」
(久しぶりに「セプテンバー」をハミングしながら)開いた秋田市の公式ウエブサイトにそうありました。
この「老人」という言葉。昔は人ごとのように感じていましたが、まさに私も今、現役の「老人」。自分ごとになりました…「セプテンバー」、能天気にハミングしている場合じゃないですね。人生を見つめ直さなくては。
ところで皆さん、「敬老の日」はよく知られていますが、もう一つ、9月には「老人の日」があることをご存知でしたか?私もずっと同じものだと思っていましたが、違うんです。2つの日には違った意味があったんです。
まず「敬老の日」は祝日法で定められた国民の祝日(2003年改正)。毎年9月の第3月曜日で「ハッピーマンデー」とも呼びます。「多年にわたり社会に貢献してきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ための日、つまり「お祝い」の日です。
一方、気になる「老人の日」は老人福祉法で毎年9月15日に定められている日(2001年改正)。こちらは老人福祉への関心を高める「啓発」を目的とする日、ということです。
ちょっとややこしいですね…
9月2日の「し~なチャン」では、秋田市長寿福祉課課長の畑山淑子さんと、同課・髙橋真紀子さんをゲストにお呼びし、その疑問をぶつけてみました。
━私が子供のころ、昭和40年(1965年)代は、(誰が何と言おうとも)9月15日こそが「敬老の日」でしたが…
「そもそも9月15日は『としよりの日』と呼ばれていたようです」と髙橋さん。
━ええっ、そうだったのか…
「1947(昭和22)年に兵庫県の自治体で行われた敬老行事がきっかけとなり、その後、9月15日を『としよりの日』に、という敬老・福祉の県民運動が広まった、とされています」
お話によれば、
「としよりの日」は「老人の日」と改称され、1966(昭和41)年にまずは国民の祝日「敬老の日」へと発展。その後、「敬老の日」は「9月の第3月曜日(祝日)」と変わりました。そして、「老人の日」は名前をそのままに「9月15日」に固定して「”啓発”の日」としたわけです。
そもそも初めにあった「としよりの日」という表現。きっと「こういう表現は良くない」という理由もあって消えていったんでしょうね、侃侃諤諤(かんかんがくがく)、たくさんの議論の末に。でも、「お」をつけて「おとしよりの日」とすれば、少しはニュアンスが柔らかくなった、とも今は思いますが…そうでもないかな。
「老人の日」で使われる「老」という言葉。シニアになり、初めはこの言葉に反発していた私でしたが、お話を聞きながらか少々考えをあらためました。
中国では、必ずしも「としより」でなくても、年齢に関係なく、例えば「先生」のことを「老師」と呼びます。
辞書などを調べれば「老師」とは「禅宗で、学と行に長じた僧に対する敬称」ともあり、「老」には、豊かな経験をもった「人生の先達」といった尊敬のニュアンスもあるようです。
それならば「老」も悪くはないかな…と。「敬老の日」「老人の日」と、2つあるのもいい。この2つの日は、シニアの皆さん、老師の方々のため、食卓に特別な「おかず」が一品多く添えられそうですし~
さて、話題を秋田市の「老人保健福祉月間」に戻します。
エイジフレンドリーシティ(シニアに優しい社会)、「誰もが生きがいを持ち、健康で安心して生活できる明るく豊かな長寿社会」を目指す秋田市(※【し~なチャン便り 第13話】4月1日 エイジフレンドリーシティって https://plat-akita.jp/column/cnatyandayori20210414/)
「老人福祉保健月間では、シニアの方々の社会参加のほか、さまざまな世代の一人ひとりが、高齢者や高齢期のあり方について関心と理解を深めるための取り組みをすすめています。その一つが市内の小学生から募集した標語です。優しさ、思いやりがこもった応募作品が毎年送られてきています」(畑山課長)。
今年度の入賞作品5点を紹介していただきました。
【最優秀作品】
「世代超え 広がる優しさ 思いやり」(日新小4年 能登谷 怜生さん)
【優秀作品】
「支え合い 力を合わせ 助け合い」(雄和小6年 小縄 光咲さん)
「助け合い 笑顔で作ろう 長寿社会」(日新小4年 佐々木 梨乃さん)
「あいさつは 人と心をつなぐ あいことば」(飯島小5年 中川 陽翔さん)
「なんもです 秋田訛りに 優しさいっぱい」(御所野小5年 斉藤 瑛太さん)
感動しました、じーんと来ました。そんなとき、番組スタッフから「西村”老師”、シニアとしての思いをぜひ標語に」というオーダー。
ノセられた「老師」は急遽つくってみました。
「記者時代 『原稿いのち!』が 今は『健康』」
解説不要とは思いますが…
新人記者時代。先輩から「記者ならば 原稿いのち! 健康二の次」というハードな指導の句(※あくまで昔の話です、念のため)をいただきました。
先輩のありがたい言葉への、今シニアとしての、精一杯の「返句」でした。健康は大事です!!