米国防総省が最近、「未確認飛行物体」つまり「UFO」についての調査報告書を発表しました。これはUFOファンが長く待ち望んできた報告書。これまで「都市伝説」とされてきたUFOの存在について米政府が公的に認めた、ともいえます。
報告によれば、2004年以降に米軍パイロットが「説明できなかった物体」に遭遇したのは144件。この中で、調査で科学的に解明できたのは1件(空気の抜けていく大きな風船)のみ。もちろん「UFO=宇宙人の乗り物」とまでは言えませんが、まさに「未確認」の不思議な浮遊物が存在する…米国ではUFOブームが再燃しているようです。
私もUFOファンでした。少年時代の70年代、日本でもUFOブームが起こりました。オカルトブームも重なり、テレビでは盛んにUFO特集番組が放送されました。少しマニアックですが…イギリスの伝説のテレビドラマ「謎の円盤UFO」(知ってますか?)は、秋田でも放映され、昭和の少年たちは夢中になったものです。
実は約30年前の「1991年9月」、私が秋田魁新報の記者時代のことですが、「UFO目撃 県内で相次ぐ」という記事が実際に掲載されました。編集局には「正体不明の光る物体」について数多くの目撃談が寄せられ、それが特定の日時に集中していたことから、「ついに秋田にも」「今度こそ本物?」と、みんなで興奮したことを覚えています。ただ、その後、私たちの取材では十分に検証できず、謎が謎のままで終わってしまいましたが…
この「1991年」の出来事、謎の「光」の存在をモチーフにした映画「光を追いかけて」が9月23日、秋田市のAL☆VEシアターなどで先行公開されます(全国の公開は10月1日から)。撮影は井川町をメーンロケ地に、すべて秋田県内で行われたんです。
秋田県の架空の町、「鷲谷町」に突如現れた「緑の光」をきっかけにして出会った思春期の少年少女、その葛藤や心の成長を描く物語です。主人公の少年役に中川翼さん、ヒロイン役は長澤樹さん。さらに映画には大仙市出身の柳葉敏郎さんと、由利本荘市出身の生駒里奈さんも出演しています。
監督を務めたのは、テレビコマーシャルからミュージックビデオまで数多くの映像作品を手掛けた秋田市出身のCMディレクター成田洋一さん(60)。これまで600本以上のCМをつくってきた成田さんですが、映画製作はこれが初めて。
(下の写真は、「アルヴェ」で8月20日に行われた公開記念イベントの様子。左から成田監督、主演の中川さん、МCのCNA本間さん、ヒロイン役の長澤さん)
「CМは基本的に商品をアピールするためにつくるものです。スポンサーの伝えたい思いをプロとしてかなえていく仕事。でも映画は違うんです。自分で好きなものを撮る、自分の伝えたい思いを表現するためにつくるもの。高校生のころから映画監督になりたかった。長い時間がかかりましたが、それが実現しました」
鷲谷町、ロケ地は井川町です。予告編をじっくり拝見しました。秋田生まれとして、子どもから慣れ親しんできた田園風景が、映画の中では全く違ったものに見えました。観光地として整備された風景でもない、何の変哲もない日常の風景、秋の田んぼが広がる映像がとても美しく、輝いています。
「母の実家が井川町にあり、夏休み冬休みはここで過ごすことが多かったんです。僕の原風景かな。映画を撮るのだったら、この町で撮りたいと思っていました。ただ、観光地や名物を紹介する、いわゆる『地方創生ムービー』ではないものにしたいとも思っていました。でも、私自身の心を揺さぶるもの、モチーフになる『何か』が、なかなか見つかりませんでした」
そんな中、成田さんは井川町の叔父がつぶやいた一言に、心が動かされます。
「30年前、UFOを見た。翌朝、うちの田んぼの中に『ミステリー・サークル』ができて…町は大騒ぎになった」
という一言でした。
「『これだ』と思いました」と成田さん。「これが展開の鍵になっています。過疎の町で心の均衡をぎりぎり保っている思春期の子供たち、不安を押し隠しながら生活している大人たち。そんな中に『それ』が現れる。きっとその時、みんなの心の均衡が崩れ、何かが起こるのではないか、と…」
━ようやく初作品が披露されますね。
「秋田総力戦ムービー、私はそう思ってます。地元の方々に支えられて映画が完成しました。秋田ってこんなに美しいんだと、秋田に誇りを持てる作品でありたいと思います」
この数年間、秋田をロケ地にした「ALL秋田ムービー」映画の製作が相次いでいます。
最近のお気に入りを上げれば、
過去と向き合う姿を倉科カナが演じる「遠くでずっとそばにいる」(2013年)、山田孝之プロデュース、阿部進之介企画・原案・主演の「デイアンドナイト」(2019年)、そして最近では第68回サン・セバスティアン国際映画祭最優秀撮影賞、第30回日本映画批評家大賞新人監督賞を受賞した佐藤快磨(たくま)監督=秋田市出身=の「泣く子はいねぇが」(2020年)…
「いやぁ、映画って本当にいいもんですね~」(金曜ロードショー・水野春郎さん)、それでは皆さん、「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」(日曜洋画劇場・淀川長治さん)
…最後は「昭和」懐かしのフレーズで、失礼します。