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【し~なチャン便り 第55話】まちなかフカボリ~秋田にもいた「赤い靴」の女の子

「赤い靴(くつ) はいてた 女の子
異人(いじん)さんに つれられて 行っちゃった」

野口雨情作詩、本居長世作曲の「赤い靴」(1922年)。何だか、どこか切なくて哀しい歌…ですよね。実は秋田にも「赤い靴」の女の子がいたんです。

「明治のころ、秋田の少女が米国人宣教師ミス・カラ・ハリソンに連れられて米国に渡った」という実話が、北秋田市出身の直木賞作家・故渡辺喜恵子さんの小説「タンタラスの虹」に描かれています。

少女の名前は金子ハツ。「獄中で殺人者の娘として生まれたハツを、秋田にいたハリソンが支え、やがて母親となって育てた」というストーリーです。ハツが12歳の時に一緒に渡米。ハツは米国の大学を卒業してハワイで教師となりますが、3434歳の若さで病死した、といいます。

地元秋田の人でも、この話を知っている人はそう多くはありません。

この実話を語り継いでいこうと、国際家族年にあたる1994(平成6)年、県婦人会館が母子像建立を計画。婦人会館の運営に携わっている全県15の婦人団体が核となり、募金活動を展開しました。

婦人団体の方々の熱意と努力によって、県内外で大きな反響を呼び、善意の輪が広がっていきました。募金総額は目標の600万円を大きく上回り、1千万円近くに膨らんだ、といいます。

像は十文字町出身で当時、東京芸術大学大学院在学中の皆川嘉博さん(秋田公立美術大教授)に依頼。ハツが通った明徳小学校跡地の秋田市立中央図書館明徳館(現在のきららとしょかん明徳館)前庭に、5カ月かけて完成しました。10歳のハツと30代半ばのハリソンをイメージしたブロンズ像で、120センチの赤御影石の台座に180センチの全身像が立っています。

映画化も進んでいます。この実話に着想した映画「みちのく秋田 赤い靴の女の子」の制作を、首都圏の本県出身者でつくる制作委員会が企画しました。100分前後(予定)の作品で、まもなく公開されます。

2019年5月から撮影を開始し、これまでに秋田市の旧金子家住宅、横手市の民家苑「木戸五郎兵衛村」、仙北市角館町などでロケ。市民エキストラをはじめ、たくさんの地元の人たちが撮影を支えてきました。

監督・脚本は石谷洋子さん(横手市出身)、ハツ役に女優安田聖愛さん(潟上市出身)、ハツの母ふじ役にタレント壇蜜さん(横手市出身)ら。ハツの幼少期も県内の小学生が演じています。

ちなみに、ハリソン役はNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」に出演した女優アナンダ・ジェイコブズさん(主人公エリーさんの妹役)。 大河ドラマ「八重の桜」にも出てましたよね。

さてオール秋田でつくる映画「赤い靴」。公開前に、ぜひ銅像をチェックしてみてください。同図書館には「赤い靴」資料がたくさんあります。こちらにもどうぞ。