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【し~なチャン便り 第74話】ナマハゲは”鬼”?

秋田ケーブルテレビ(CNA)で記者として番組制作をしている西村修です。

あらためて自己紹介を少しだけ。

秋田ケーブルテレビ(CNA)では、月曜から金曜日の正午、秋田駅前のアルヴェスタジオで公開情報番組「し~な(CNA)チャン」を生放送。この番組で、私は「木曜日コメンテーター」をやらせていただいてます。

木曜日はパーソナリティの「椎名恵」さんをМCに、アクティブシニアや若い世代をゲストにトークしたり、秋田の歴史や文化、トレンドを「あきたフカボリ」というコーナーで紹介したり…まぁ、にぎやかに楽しくをモットーに50分間、お送りしています。

ところで…皆さん、今年「2025年」は「昭和」で換算すれば「昭和100年」なんです。ご存知でしたか?

昭和という元号は1926年12月25日にスタート。1989年1月7日まで62年間、続きました。今年2025年は、1926年の昭和元年から100年の節目を迎えた、というわけです。

2025年のコラムは「昭和100年」をバックボーンに、CNA情報番組「し~なチャン」での秋田の話題もピックアップ。シニアのための面白情報、秋田で楽しく暮らすための『ノウハウ』を発信していきます。よろしくお願いします。

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「ナマハゲ柴灯(せど)祭り」が今年も男鹿市北浦の真山神社で行われました。
真山神社、裏手の山。たいまつを手にしたナマハゲたちが杉木立を分け、奇声を上げながら参道を駆け下る。柴灯(せど)の火の粉が宙に舞い、漆黒の闇に広がって、異形の者たちの”鬼面”を浮き彫りに-(CNAでもライブ放送しました)。

やはり「ナマハゲ」は迫力がありますね。

この奇祭の時期に、決まって同じ疑問が脳裏に浮かびます。それは「ナマハゲは”鬼”なのか」という疑問です。

たぶん県外観光客の大部分、また県内でもかなりの人たちが「ナマハゲ=鬼」と考えている…のでは? イメージのもとは「面」。観光イベントに登場するナマハゲたちには、鬼のトレードマーク「角」が生えているから…。でも、不思議なことがあるんです。ナマハゲ神社とも呼ばれる本拠地・真山神社周辺の集落で、大みそかに出没するナマハゲには「角」がないんです。

ナマハゲのルーツについては諸説あります。五社堂の「999の石段」の鬼伝説、「本山赤神神社縁起」に依拠している「漢の武帝と五鬼説」。一方、「鬼じゃない」とする人たちが唱えるのは、山岳信仰からの「山伏修験者説」、三方を海に囲まれた男鹿半島の地理的条件などから「渡来人漂着説」、そして新しい年の豊饒(じょう)を祈って神の使いを迎える「神霊祖霊の予祝(前祝)祭説」(神の使い説)です。

どれも面白いし、説得力もあるんですが…ただ、個人的には最後の「神の使い説」がイチオシ。ナマハゲはこの地域の人にとって愛すべき存在、シンボル。決して邪悪な「オニ」じゃないんです。

「ナマハゲは鬼じゃねぇ、神の使いだ」「もともとは角なんてなかった」。地元の人の話を聞いてそれを確信しました。

私は以前、秋田魁新報記者でした。男鹿支局勤務時代、今から数十年前のこと…

「万葉集の中に、八郎潟と男鹿半島を詠んだ歌があった」という内容の論文を発表して注目を集めた姫路独協大学の吉田金彦名誉教授(故人)が男鹿を訪れた際、お話しを聞いたことがあります。披露してくれたのが独自の「オニ論」。

「オニは『鬼』ではなく『大』『大人』と書くべきではないか。『大きな、力強い(人)』といった意味。オニが邪悪なイメージを持つのはずっと後の時代。だれかが意図的に『鬼』の字をあて、イメージを植え付けた」というものでした。いやぁ、刺激的でしたね。まさに目からウロコが落ちた、というか、鬼から角がとれた、というか。

調べてみると、「鬼」という漢字が「おに」という「和訓(わくん)」で広く世間に伝わったのは平安時代以降ともいわれます。特に江戸時代に浮世絵師の鳥山石燕(とりやませきえん)が「頭に角が生えた鬼」というキャラクターを描いてから、「鬼は角」というイメージが定着した、ようです(異説もあります…)。

さて、と。

男鹿の名前の由来にもなったという人物がいます。秋田の人物で最初に史実(日本書紀、658年のくだり)に登場した「恩荷(おんが)」。当時、男鹿地方の人々のリーダー的な存在だったといいます。みんなの尊敬を集めていた、懐の大きな人物・恩荷…恩荷って「おに」とも読めますよね。

「ナマハゲ」大好き人間として、妄想は膨らむばかりです。

ALL-Aシニアサポーター/秋田ケーブルテレビ(CNA)記者:西村 修

記事:ALL-Aサポーター・元魁新報記者:西村修