株式会社ALL-A

【し~なチャン便り 第21話】5月27日 秋田の新しい働き方~若者と地域を結ぶ”クエスト”

「県人口100万人割れ」。秋田魁新報の2017年4月13日付、朝刊一面に踊った大きな見出しです。 県や総務省によると、90万人台となるのは戦前の昭和5年以来87年ぶり、ピークだった同31年の約135万人から26%減少した、といいます。紙面を手に「ついに…」と思わず、ため息をついたものでした。

人口減の第1の要因は、就職や進学で県外に転出する数が転入数を上回る社会減。この流れは東京など大都市への人口集中と裏腹の関係にあるようです。

就職を考える学生は、「秋田に残るか、県外へ出るか」で心が揺れます。「県外就職を選んだ」という学生たちに、思いを聞いたことがあります。その理由の多くは(首都圏などと比べて)「秋田は職業選択の幅が小さい」「魅力的な企業がない」など。特に「開発、研究」を希望職種に挙げる理系学生たちにその傾向が顕著でした。

複雑な思いでした。県内には、小規模ながらもきらりと光る技術やアイデアを持って、ユニークな製品やサービスを世に送り出している、世界でも注目する企業があるんですから。「海外進出を見据え、新しい事業を始めたい」という県内企業の担当者は「将来の会社を支える人材として大切に思っている」と学生たちに熱い視線を送ります。でも、その声は残念ながら届かない…

地元企業と学生たちの意識、その微妙なずれ、哀しい「ミスマッチ」ってまだ続いているんだろうなぁ…そんな中、あらためて「秋田で働く」ということを見つめ直す機会があったんです。

ゲストは、地方事業者と地方学生をマッチングする会社「LocalQuest(ローカル・クエスト)」を運営する高橋 新汰(あらた)さん(26)=山梨県出身、秋田市。テーマはずばり、「秋田の新しい働き方~若者と地域を結ぶ”クエスト”」

えっ、クエスト? すぐに連想したのは「ドラゴン・クエスト」。プレイヤー自身が主人公となり、「竜王」ら魔王たちを倒すために壮大な冒険物語を紐解いていくという、日本を代表するロールプレイングゲームです。この中の「クエスト(quest)」は「探求(探し求める)」という意味…そこで質問━”クエスト”って名前、気になります…

「実は社名をつけるとき、”ドラゴン・クエスト”を意識していました。『クエスト=探求』には2つの意味があります。一つは地域の探求、もう一つは自らの内面の探求。学生たちに、1日ボランティアや、長期のインターンシップを通じてその2つを『探求』してほしい、という思いです」

やはり、そうだった。徐々に気持ちが高ぶってきました。徳永英明が作曲し、歌ったドラクエのテーマ曲『夢を信じて』のメロディが脳裏に流れてきます…

「LocalQuestは、地方の学生と企業のマッチングに特化した求人プラットフォームです。例えば『1日ボランティア』は、人手が欲しい事業者がLocalQuestのサイトで求人内容(クエスト)を掲載。学生は、これらの中から興味を持ったクエストをチェックし、その依頼(ミッション)を達成することで報酬を受け取ることができるんです」

━まさに「ドラクエ」の世界ですねぇ。でも、ボランティアの報酬って?

「開催したばかりの『林業でのお手伝い(五城目町の林業会社と連携)』では、山菜や熊肉などのジビエを調理したお昼。地元・五城目町のお菓子など。みんなが楽しみながら、秋田の林業を体験しました。お手伝いを通して、地域への理解を深め、自分ごととして考える。現場だからこそ感じられること、人の働くことの思いや自然の豊かさを体感してほしいという狙いです」

━もう一つの柱、「インターンシップ」ですけど、これは従来、各企業でやっている”就業体験”とは違うものなんですか?

「企業の方々に聞くと、『インターンシップやりたいけど難しい』『ノウハウが分からない』『やっても2、3日がせいぜい。長期なんて無理』という声が返ってきます。LocalQuestはできるだけ長期間のものにして、企業が抱えている課題の解決、新事業・プロジェクトづくりに、学生も一緒に取り組んでもらう実践的なものを、と思ってます」

高橋さんが最近コーディネートしたのは、株式会社せん(秋田市)との「あきた舞妓の”オンラインお座敷”を全国・世界に販売するためのプロジェクト」。参加した学生たちにとって刺激的な体験だった、といいます。

ボランティア、インターンシップというリアルな体験を通じて秋田を学び、企業を知り、自らを見直す━学生にとっても、企業にとっても心が躍る「ドラゴン・クエスト」、いや「LocalQuest」(https://local-q.com/html/)。

自らの「夢を信じて」進む、若き起業家・高橋さん。彼が紡ぐクエストの旅。これからどんな広がりを見せるのか、目が離せません。